測温抵抗体の測定原理
■測温抵抗体のついて
金属の内部には自由電子が存在し自由電子が電荷を運ぶことによって電気が流れます。
又、金属は金属原子で構成されており、金属原子は温度が高くなると振動が大きくなるため自由電子の動きを阻害し電気が流れにくくなります。
すなわち温度が高くなると電気抵抗値が高くなります。
測温抵抗体は金属の電気抵抗値が温度変化によって変化する特性を利用し、その電気抵抗値を測定することにより温度を知ることができる温度センサです。
材料として白金やニッケル、銅などの金属が使用され、これらの金属は温度上昇と共に電気抵抗値も増加する特性を持っています。
現在では、電気抵抗値の温度係数が大きく、金属としての安定性に優れ、広い温度範囲で使用できる白金測温抵抗体が主流となっています。
白金測温抵抗体はJISにより規格化(JIS C1604)されており、国際規格(IEC60751)とも整合化されているため、各メーカー間での互換性もあり、熱電対と並び工業用として最も使用されている温度センサです。
又、測温抵抗体と同じ原理で温度を測定するサーミスタと呼ばれる製品もあります。金属の代わりに半導体を用いて電気抵抗値を測定しこれを温度に換算します。
サーミスタは1℃当たりの抵抗値変化が大きい為、限られた温度範囲でのみ使用されます。工業用としてではなく民生用として数多く使用されています。
■測温抵抗体の種類
現在、白金測温抵抗体は抵抗値の違いによりPt100、Pt500、Pt1000の3種類が規格化されています。
これらの測温抵抗体は抵抗比(0℃及び100℃における抵抗値の比)が1.3851でありIECとの整合化がなされています。
これらとは別に従来から日本で使用されてきたPt100も存在し抵抗比は1.3916となります。
この旧白金測温抵抗体を現在の白金測温抵抗体と区別するためJPt100(旧JISともいう)と表されます。JPt100は1997年のJIS改定により廃止となっています。
又、材料としてニッケルや銅、白金コバルトを使用した測温抵抗体も以前は使用されていましたが、使用温度範囲が限られていたり、酸化しやすい等の理由により現在はほとんど使用されていません。
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